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ブレーカーが上がらない原因は?突然の停電でも慌てない対処法を解説

突然部屋の電気が消えて、ブレーカーを上げようとしても上がらないと、故障や漏電ではないかと不安になります。
とくに夜間や急いでいるときだと、どうすればよいか分からず焦ってしまうでしょう。
ブレーカーが上がらない原因は1つではなく、種類によって対処法も異なります。
落ち着いて原因を特定し、正しく対応することが大切です。

本記事では、ブレーカーが上がらないときに考えられる原因と、ご自身でできる対処法を種類別に解説します。
ぜひ参考にして、いざというときに慌てず対応できるようにしましょう。

ブレーカーが上がらないときにまず確認すべきこと

ブレーカーが上がらないとき、焦ってレバーを何度も上げ下げするのは危険です。
まずは状況を冷静に把握してください。

確認すべきポイントは、おもに以下2つです。

  • 落ちたブレーカーの種類と停電範囲を確認する
  • 近所も停電していないか確認する

それぞれ見ていきましょう。

落ちたブレーカーの種類と停電範囲を確認する

まずは分電盤(ブレーカーボックス)を確認し、どのブレーカーが落ちているかを見極めてください。
分電盤には通常、「アンペアブレーカー」「漏電ブレーカー」「安全ブレーカー」の3種類があります。

アンペアブレーカーや漏電ブレーカーが落ちている場合は、家全体が停電します。
一方で、小さなレバーが複数並んだ「安全ブレーカー」のうちの1つだけが落ちている場合は、その回路が使われている部屋や場所だけが停電しているはずです。
どのブレーカーが落ちたかによって原因と対処法が大きく異なるため、最初の確認が肝心です。

近所も停電していないか確認する

自宅のブレーカーに問題が見当たらないのに電気がつかないときは、近所の建物も停電していないか確認しましょう。

窓から外を見て、周辺の家の明かりがついているか、街灯は点灯しているかなどをチェックします。
もし近隣一帯が停電している場合は、落雷や電線トラブルなど、地域全体に影響する電力供給の問題が考えられます。
このケースはご自身の家だけで対処できる問題ではありません。

電力会社のWebサイトで停電情報を確認するか、カスタマーセンターに問い合わせる必要があります。

【種類別】ブレーカーが上がらない原因

自分の家だけが停電している場合、原因は分電盤にある3種類のブレーカーのいずれかが作動したためです。
ブレーカーが上がらないおもな原因は、以下3つに大別されます。

  • 電気の使いすぎ(過電流)
  • 漏電
  • ショート(短絡)

詳しく見ていきましょう。

アンペアブレーカー

アンペアブレーカーは、分電盤の一番左(またはメイン)に設置されている一番大きなブレーカーで、電力会社との契約アンペア数(契約容量)を管理しています。
つまみの色で契約アンペア数が分かる場合もあります。

このブレーカーが上がらない場合、おもに以下の2つの原因が考えられます。

  • 契約アンペア数を超える電気の使いすぎ
  • 接続回路のショート

これらの原因は、家庭内の電気使用状況を見直すことで特定できる場合があります。

契約アンペア数を超える電気の使いすぎ

アンペアブレーカーが落ちるもっとも一般的な原因は、契約している電気量の上限を超えてしまったことです。

たとえば、電子レンジやドライヤー、エアコンなどを同時に使用すると、合計のアンペア数が契約値を超えてしまい、ブレーカーが作動します。
これは電気の使いすぎによるもので、火災などを防ぐための安全機能が働いている状態です。

一度に多くの家電製品を使う際は注意しましょう。
とくに、消費電力の大きい家電を使う時間帯をずらすなどの工夫が求められます。

接続回路のショート

家電製品のコードが傷ついていたり、コンセントに水やほこりが入ったりすると、回路がショート(短絡)することがあります。

ショートが起きると、大きな電流が一瞬で流れるため、アンペアブレーカーが作動して電気を遮断します。
これは電気が本来の通り道から外れて直接つながってしまう現象です。
ショートは火災につながる危険性があるため、ブレーカーが即座に反応するのは重要な安全機能の1つといえるでしょう。

漏電ブレーカー

漏電ブレーカーは、分電盤の中央付近に設置され、「テストボタン」が付いているのが特徴です。
電気が本来の回路以外に漏れ出す「漏電」を検知すると作動し、感電や火災を防ぐための安全装置の役割を果たします。

漏電ブレーカーが上がらない場合、家の中のどこかで漏電が発生していることを示しており、以下の原因が疑われます。

  • 家電製品や配線の漏電
  • 家電製品の故障

漏電は危険な状態ですので、慎重な対応が求められます。

家電製品や配線の漏電

家電製品の内部や、壁の中を通っている電気配線が劣化・損傷すると、そこから電気が漏れ出してしまうことがあります。
とくに、キッチンや洗面所など水回りで使用する家電は、湿気によって漏電しやすいため注意が必要です。

漏電ブレーカーが落ちた際は、どこかの電気回路で漏電が発生している可能性が高いと考えられます。
感電の危険があるため、原因が特定できるまでむやみにブレーカーを上げるのは避けましょう。

家電製品の故障

家電製品自体が故障していることが、漏電の原因となるケースも少なくありません。
長年使用している古い家電や、水に濡れてしまった家電は、内部の絶縁が劣化して漏電を引き起こすことがあります。

特定の家電を使い始めたときに必ず漏電ブレーカーが落ちる場合は、その製品が故障している可能性を疑いましょう。
この場合、その家電の使用を直ちに中止し、コンセントからプラグを抜いておく必要があります。

安全ブレーカー

安全ブレーカーは、分電盤の右側に複数並んでいる小さなブレーカーです。
「台所」「居間」「エアコン」など、各部屋や特定のコンセント回路ごとに分かれています。
このブレーカーが上がらない(一箇所だけ上がらない)場合、その特定の回路で問題が発生していることを示します。

安全ブレーカーが上がらない場合、原因は以下の2つです。

  • 特定の回路での電気の使いすぎ
  • 電気コードのショート

家の一部分だけ電気がつかない場合は、このブレーカーを確認しましょう。

特定の回路での電気の使いすぎ

安全ブレーカーは、リビングやキッチン、寝室といった部屋ごとや、エアコンなどの特定のコンセントごとに回路が分かれています。
その回路で許容されている容量を超えて電気を使用すると、ブレーカーが落ちます。

たとえば、キッチンで電子レンジと電気ケトル、炊飯器を同時に使った場合などがこれにあたるものです。
いわゆる「タコ足配線」で多くの電化製品を1つのコンセントから取っている場合も、この原因で落ちやすくなります。

電気コードのショート

電気コードの損傷も、安全ブレーカーが落ちる原因です。
コードが家具の下敷きになって潰れていたり、ペットがかじってしまったりすると、内部の電線が接触してショートを起こします。
ショートすると大電流が流れるため、安全ブレーカーが電気を遮断します。

焦げ臭いにおいがしたり、コードが熱くなっていたりする場合はショートの可能性が高いです。
そのコードは決して使用せず、すぐにコンセントから抜いてください。

ブレーカー自体の故障や劣化

電気の使いすぎや漏電、ショートといった原因に心当たりがないにもかかわらずブレーカーが上がらない場合、ブレーカーそのものが故障している可能性も否定できません。
ブレーカーも機械部品であるため、寿命があります。

この場合、以下の状態が考えられます。

  • 耐用年数を超えている
  • 内部部品の破損

個人での対処は難しいため、専門家への相談が必要です。

耐用年数を超えている

一般的に、ブレーカーの耐用年数は設置から約10年〜15年とされています。
長期間使用しているブレーカーは、内部の部品が劣化し、正常に機能しなくなることがあります。
見た目に変化がなくても、長年交換していない場合は経年劣化を疑いましょう。

設置から10年以上経過している分電盤でトラブルが頻発するようになったら、交換を検討する時期かもしれません。
安全のためにも、専門業者による点検をおすすめします。

内部部品の破損

ブレーカーは精密な機器であり、繰り返しの作動や、落雷などの強い衝撃によって内部部品が破損することがあります。
部品が破損すると、回路に異常がなくてもブレーカーが上がらなくなったり、反対に落ちるべきときに作動しなかったりする危険な状態になります。

スイッチ部分がぐらぐらする、焦げた跡があるなどの異常が見られる場合は、内部で破損が起きている可能性が高いです。
このような状態での使用は危険ですので、速やかに専門業者に連絡してください。

【種類別】ブレーカーが上がらないときの対処法

ブレーカーが上がらないときは、落ちたブレーカーの種類に応じて正しく対処しなければいけません。
とくに漏電の場合は、手順を間違えると感電の危険があるため、安全に十分配慮して作業を行ってください。

ここでは、3種類のブレーカーそれぞれについて、安全な対処法を解説します。

  • アンペアブレーカーまたは安全ブレーカーが落ちた(過電流)場合
  • 漏電ブレーカーが上がらない場合
  • ブレーカーを上げても電気がつかない場合

詳しく見ていきましょう。

アンペアブレーカーまたは安全ブレーカーが落ちた(過電流)場合

アンペアブレーカー(家全体)や安全ブレーカー(一部屋)が落ちた場合、おもな原因は電気の使いすぎ(過電流)です。

以下の手順で復旧作業を試みてください。

  • 使用中の電化製品の電源・プラグを抜く
  • ブレーカーのスイッチを入れ直す

感電を防ぐため、作業前には念のため乾いた手で行うことを確認しましょう。

使用中の電化製品の電源・プラグを抜く

まず、ブレーカーが落ちた原因と考えられる、使用していた家電製品の電源を切りましょう。
とくに、ドライヤーや電子レンジ、電気ストーブといった消費電力の大きい家電製品のプラグをコンセントから抜いてください。

どの家電が原因か分からない場合は、一度すべての家電のプラグを抜くと確実です。
これにより、回路の負荷をリセットし、ブレーカーを安全に上げられる状態にします。
電気の使いすぎが原因の場合、この作業がもっとも重要です。

ブレーカーのスイッチを入れ直す

原因となっている家電製品のプラグを抜いたら、分電盤に戻り、落ちているブレーカーのスイッチを「入」の位置に上げます。
アンペアブレーカーまたは安全ブレーカーのつまみを、カチッと音がするまで押し上げてください。
これで電気が復旧すれば、問題は解決です。

その後、抜いた家電製品のプラグを1つずつ差し込み、どの家電が原因だったかを確認するとよいでしょう。
一度に多くの家電を使わないように注意してください。

漏電ブレーカーが上がらない場合

漏電ブレーカーが落ちた場合は、電気の使いすぎとは異なり、漏電という危険な状態が発生しています。
感電事故を防ぐため、必ず以下の安全な手順で「漏電箇所の特定」を行ってください。
この作業は、ご家庭でできる応急処置であり、原因特定の方法です。

  • 安全ブレーカーをすべて切る
  • 漏電箇所を特定する手順

この作業は、身の安全を最優先に進める必要があります。

安全ブレーカーをすべて切る

まず漏電ブレーカーが落ちた状態で、すべての安全ブレーカー(小さいブレーカー)のスイッチを「切」の位置に下げてください。
これにより、家の中のすべての電気回路が個別に遮断され、安全に漏電箇所を探す準備が整います。

この手順を省略していきなり漏電ブレーカーを上げようとすると、再びすぐに落ちてしまい、原因の特定ができません。
必ずすべての安全ブレーカーが切れていることを確認してから、次のステップに進んでください。

漏電箇所を特定する手順

安全ブレーカーをすべて「切」にしたら、以下の手順で漏電箇所を特定します。
手順
内容
1
漏電ブレーカー(中央の大きいもの)のスイッチを「入」(上)にします
2
先ほど「切」にした安全ブレーカーを、端から1つずつ「入」(上)にしていきます
3
ある安全ブレーカーを「入」にした瞬間、再び漏電ブレーカーが「切」に落ちた場合、その「入」にした回路(例:台所)が漏電の原因です

漏電箇所が特定できたら、その回路の安全ブレーカーは「切」のままにします。
ほかの安全ブレーカーを「入」に戻してから、最後に漏電ブレーカーを「入」にすれば、漏電箇所を除く部屋の電気は復旧できます。

ブレーカーを上げても電気がつかない場合

ブレーカーの操作を試みても電気がつかない、あるいはブレーカーは落ちていないのに電気がつかない場合もあります。
その際は、自宅内の問題ではない可能性や別のトラブルが考えられますので、以下2つの対応を検討してください。

  • 電力会社に停電情報を確認する
  • 専門業者に点検を依頼する

それぞれ見ていきましょう。

電力会社に停電情報を確認する

ブレーカーに異常がなく、近隣も停電している様子がないのに電気がつかない場合、ご自身の家だけへの電力供給が止まっている可能性があります。
スマートメーターの機能で遠隔遮断されているケースなども考えられます。

まずは、契約している電力会社のWebサイトで停電情報を確認するか、カスタマーセンターに電話で問い合わせてみましょう。
電力会社側で問題を把握している場合があり、復旧の見通しなどを教えてもらえます。

専門業者に点検を依頼する

漏電箇所が特定できない、ブレーカー自体が破損している、焦げ臭いにおいがするなど、少しでも危険を感じた場合は、無理せずすぐに専門業者に連絡してください。
電気工事士の資格を持つプロに点検を依頼するのがもっとも安全で確実な方法です。

とくに漏電やショートは火災に直結する危険なトラブルです。
24時間対応している業者も多いので、深夜や休日でもためらわずに相談し、適切な処置を依頼しましょう。

まとめ:ブレーカーが上がらないときは原因を特定し正しく対処しよう

ブレーカーが上がらない原因は、電気の使いすぎから危険な漏電、ブレーカー自体の故障までさまざまです。
まずは慌てずに、どのブレーカーが落ちたのか、停電の範囲はどこまでかを確認することが大切です。

原因が電気の使いすぎであれば、ご自身で復旧させることも難しくありません。
しかし、漏電が疑われる場合や、ブレーカーの故障・劣化が考えられる場合は、無理をせず速やかに専門業者に相談してください。
安全を第一に考え、正しい知識で冷静に対処しましょう。

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