「ブレーカーを点検します」「電力会社から依頼を受けています」などと、突然電話がかかってくることがあります。
実際に一般家庭の電気設備には法令に基づく定期的な安全調査がありますが、それを装って分電盤の交換を勧める点検商法も発生しているため注意が必要です。
国民生活センターによると、分電盤の点検商法に関する相談は2025年度に6,545件となり、前年度の約5倍に増加しました。
本記事では、ブレーカー点検を名乗る訪問や電話を受けた際の対処法、正規の法定点検との違い、注意したい勧誘の特徴、契約してしまった場合の対応について解説します。
ブレーカー点検の訪問や電話が来たらすぐに応じない
ブレーカーや分電盤の点検を突然電話で持ち掛けられた場合は、相手の説明だけを信用して訪問を受け入れないことが大切です。
実際に電力会社や登録調査機関が行う安全調査はありますが、それらを装った勧誘も確認されています。
会社名や点検の目的を確認し、自身で調べた公式窓口へ問い合わせて、本当に点検予定があるのか確かめてから対応しましょう。
会社名や点検の目的を確認する
電話を受けたら、まず会社名、担当者名、点検の目的、どの事業者から依頼を受けているのかを確認してください。
「電力会社の関係会社です」「地域のブレーカーを順番に点検しています」など、曖昧な説明しかない場合はその場で訪問を承諾しないほうがよいでしょう。
電力会社や委託会社を名乗って訪問し、実際には関係のない業者だったという相談も寄せられています。
突然の電話だけで訪問日時を決めない
一般送配電事業者各社が行う4年に一度の安全調査について、送配電網協議会は点検日時を事前に書面で案内し、電話で点検日時を知らせることはないと説明しています。
一方、登録調査機関によっては事前案内後の日程調整などで電話をする場合もあります。
そのため、「電話が来たからすべて偽物」と判断するのではなく、書面の有無や依頼元を確認し、公式窓口から事実関係を確かめることが重要です。
相手から教えられた番号ではなく公式窓口へ確認する
相手が「心配ならこちらへ電話してください」と問い合わせ先を伝えてきても、その番号が本当に電力会社や登録調査機関のものとは限りません。
確認する際は、電力会社や一般送配電事業者の公式サイト、契約書類などから問い合わせ先を自身で調べましょう。
東京電力も、同社や関係会社を装った電話・訪問による不審な勧誘について注意を呼びかけています。
少しでも不審に感じた場合は、訪問前に確認してください。
ブレーカーや分電盤には正規の法定点検がある
突然の点検電話には注意が必要ですが、ブレーカーや分電盤の点検そのものがすべて不審なものというわけではありません。
一般家庭などの電気設備では、電気事業法に基づく安全調査が原則として4年に1回以上行われています。
正規の法定点検には費用を請求しない、調査員が身分証を携帯するといった特徴があるため、基本的な仕組みを知っておきましょう。
一般家庭では原則4年に1回以上の安全調査が行われる
電気事業法では、一般家庭や小規模な店舗などの電気設備について、技術基準に適合しているか調査する仕組みが設けられています。
一般的な一般用電気工作物は、原則4年に1回以上の頻度で調査が行われます。
実際の調査では漏電の有無や屋内配線、分電盤などの状態を確認し、電気を安全に使用できる状態か調べます。
したがって、定期的な点検案内自体が不自然なわけではありません。
正規の法定点検で点検費用を請求されることはない
4年に一度の法定点検は、一般送配電事業者または国の登録を受けた調査機関などが実施します。
安全調査を登録調査機関へ委託しており、調査員は勤務証を携帯し、調査の際に費用を受け取ることはありません。
そのため、「法定点検なので点検料が必要」「今現金で支払ってください」などと言われた場合は、その場で支払わず依頼元を確認しましょう。
正規の法定点検ではその場で交換契約を勧めない
正規の安全調査で設備に問題が見つかることはありますが、調査員がその場で分電盤交換などの契約を勧誘することはありません。
不良箇所が見つかった場合は結果の説明を受けたうえで、自身で電気工事店などへ修理を依頼しましょう。
「今日契約しないと危険」などと即決を迫られた場合は、特に注意してください。
ブレーカー点検を名乗る電話や訪問で注意したい言葉
点検商法では、消費者が断りにくくなるよう、電力会社や自治体と関係があるように見せたり、火災や漏電への不安をあおったりするケースがあります。
「法律で交換が決められている」「すぐ交換しなければ危険」などと言われ、高額な分電盤交換を契約した相談も寄せられています。
以下では、具体的な手口を知り、冷静に判断できるようにしましょう。
「電力会社から依頼されている」と言われる
点検業者が電力会社やその委託会社を名乗れば、正規の法定点検だと思って訪問を受け入れてしまう可能性があります。
しかし、契約している電力会社から委託された業者だと説明されたものの、後から確認すると無関係だった事例も公表されています。
会社名を聞いただけで信用せず、電力会社や一般送配電事業者の公式窓口へ直接問い合わせて、委託先や点検予定を確認しましょう。
「法律で分電盤の交換が決められている」と言われる
「法律で15年ごとの分電盤交換が義務付けられている」などと説明された事例もあります。
法律に基づいて実施されているのは電気設備の定期的な安全調査であり、調査員が法定点検後に分電盤交換の契約を持ち掛けることはありません。
「法律で決まっている」と言われても、その場で契約せず内容を確認してください。
「すぐ交換しないと漏電や火事になる」と急かされる
点検後に「このままでは漏電する」「いつ火事になってもおかしくない」などと強く不安をあおり、すぐに交換工事を契約させようとする手口があります。
もちろん、電気設備に本当に危険な異常が見つかる場合はあります。
しかし、正規の法定点検を担当する調査員がその場で交換工事を販売することはありません。
指摘された箇所や点検結果を書面で確認し、必要であれば別の電気工事店にも相談しましょう。
その場で高額な工事契約や現金払いを求められる
国民生活センターの注意喚起では、点検後に分電盤交換費用を現金で支払ったものの、契約書を受け取っていないという相談も紹介されています。
正規の法定点検そのものは無料であり、訪問した調査員がその場で交換工事を販売することもありません。
高額な見積もりを提示されてもすぐに署名や支払いをせず、工事内容や価格をほかの業者と比較してから判断することが大切です。
ブレーカー点検の電話や訪問からトラブルを防ぐ方法
不審な点検業者とのトラブルを防ぐには、その場で相手の説明を信用して家へ入れたり、契約しないことが基本です。
特に「今日だけ」「今すぐ工事が必要」と判断を急かされた場合は、一度対応を打ち切ってください。
身分証や事前通知を確認し、家族や公式窓口、必要に応じて消費生活センターへ相談してから判断しましょう。
事前確認ができるまで家の中へ入れない
突然訪問してきた業者や、直前の電話だけで訪問することになった業者については、身元を確認できるまで分電盤の点検を依頼しないほうが安全です。
一度室内へ入れると、「危険な状態だ」などと説明され、その場で契約を迫られる可能性があります。
正規の点検か確認できてから対応してください。
調査員証や事前の案内書面を確認する
正規の定期調査では、点検日時が事前に書面で案内され、作業員は身分証を携帯します。
訪問者が来たら、案内書面に記載された事業者名と一致しているか、調査員証を提示できるか確認しましょう。
ただし、名刺や制服だけで本物と判断するのは避けてください。
不審に感じる場合は玄関先で対応を止め、自身で調べた一般送配電事業者や登録調査機関の窓口に問い合わせる方法が確実です。
その場でサインや支払いをしない
「点検結果を確認するためのサイン」と説明されても、内容を読まずに署名しないでください。
不審業者が作業終了後などにサインを求め、実際には契約書になっている事例についても注意を呼びかけています。
見積書や契約書を渡された場合は、その場で結論を出さず持ち帰って確認しましょう。
家族などにも相談し、必要な工事であれば複数の業者から見積もりを取ると比較しやすくなります。
本当に故障が心配なら自身で電気工事店を選ぶ
分電盤が古い、ブレーカーが頻繁に落ちる、焦げ臭いニオイがするなど、本当に電気設備が心配な場合は、訪問してきた業者へそのまま依頼する必要はありません。
管轄の一般送配電事業者や地域の電気工事関係団体などへ相談し、自身で信頼できる電気工事店を探します。
分電盤交換を検討する際は複数業者から見積もりを取り、機能や価格を確認してから契約しましょう。
ブレーカー点検後に契約してしまった場合の対処法
訪問してきた業者に勧められて分電盤やブレーカーの交換を契約した後でも、すぐに諦める必要はありません。
契約方法によっては特定商取引法のクーリング・オフ制度を利用できる場合があります。
以下では、ブレーカー点検後に契約してしまった場合の対処法を解説します。
訪問販売なら8日以内にクーリング・オフできる場合がある
特定商取引法上の訪問販売に該当する場合、法律で定められた契約書面を受け取った日を1日目として8日以内であれば、原則としてクーリング・オフができます。
通知は書面のほか、電磁的記録でも可能です。
また、事業者から事実と異なる説明を受けたことなどによりクーリング・オフできなかった場合は、8日を過ぎても利用できるケースがあります。
判断に迷ったら自身だけで事業者と交渉せず相談してください。
消費者ホットライン188へ相談する
契約を断れなかった、高額な代金を支払ってしまった、解約を拒否されたなどのトラブルがあれば、消費者ホットライン「188」へ相談できます。
188へ電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。
分電盤の点検商法について不安や不明な点がある場合は、早めに消費生活センターへ相談しましょう。
契約書や名刺、領収書、電話番号などがあれば手元に用意しておきましょう。
まとめ|ブレーカー点検の訪問や電話はその場で判断せず確認しよう
ブレーカーや分電盤には、電気事業法に基づいて一般家庭などを対象に原則4年に1回以上実施される安全調査があります。
そのため、点検の案内自体がすべて詐欺や悪質業者によるものとは限りません。
しかし、正規の法定点検は登録調査機関などが行い、調査員は身分証を携帯し、点検費用を請求することもありません。
一方、電力会社や委託業者を名乗って電話をかけ、「すぐに交換しなければ火事になる」「法律で分電盤の交換が決まっている」などと不安をあおり、高額な交換契約を勧める点検商法も発生しています。
もし訪問業者と契約してしまっても、訪問販売に該当すれば契約書面を受け取った日から8日以内にクーリング・オフできる場合があります。
不審な点検電話や訪問、契約トラブルで困った際は、消費者ホットライン「188」へ早めに相談しましょう。