夜間や悪天候の際に突然電気が消えると、不安になるものです。
照明が使えない不便さだけでなく、冷蔵庫の中身が心配になったり、PCのデータが消えてしまわないかと焦ったりするかもしれません。
ブレーカーが落ちる原因はさまざまで、放置すると危険な場合もあります。
本記事では、ブレーカーが落ちる3つのおもな原因と、それぞれの種類に応じた安全な復旧方法を解説します。
いつもと同じなのに落ちるといった疑問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
ブレーカーが落ちたらまず確認すること
突然電気が消えると、焦ってすぐにブレーカーを上げようとしがちです。
しかし、原因によっては危険が伴うため、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。
ここでは、ブレーカーが落ちた際に最初に行うべき3つの確認事項を説明します。
- 分電盤の設置場所を確認する
- 落ちたブレーカーの種類を特定する
- スマートメーターの自動復旧を待つ
それぞれ見ていきましょう。
分電盤の設置場所を確認する
ブレーカーが落ちた際、最初に行うのは分電盤の確認です。
分電盤は、家の電気を管理・分配する重要な装置で、一般的に玄関の壁の上部や洗面所、または台所などに設置されています。
夜間や暗い場所で停電すると、分電盤の場所を探すこと自体が困難になるおそれがあります。
安全に操作するためにも、懐中電灯やスマホのライトを準備してください。
いざというときに慌てないよう、日頃からご自宅の分電盤の場所を家族全員で把握しておきましょう。
落ちたブレーカーの種類を特定する
分電盤のカバーをあけたら、どのスイッチが「切(OFF)」の位置に下がっているかを確認しましょう。
分電盤の中には、大きく分けて3種類のブレーカーがあり、それぞれ役割が異なります。
一般的に、左側に一番大きな「アンペアブレーカー」、中央に「漏電ブレーカー」、右側に小さな「安全ブレーカー」が複数並んでいるはずです。
どのブレーカーが落ちたかによって、停電の原因が「電気の使いすぎ」なのか、あるいは「漏電」などの危険な状態なのかを判断できます。
むやみにスイッチを戻すと危険な場合もあるため、まずは種類を見極めることが安全な復旧への第一歩です。
スマートメーターの自動復旧を待つ
分電盤を見ても「アンペアブレーカー」が見当たらないご家庭も増えています。
これは、近年設置が進んでいる「スマートメーター」に、機能が内蔵されているためです。
このタイプは、契約アンペア数を超える電気の使いすぎが原因で停電した場合、約10秒経過すると自動的に電気が復旧する仕組みになっています。
もし10秒以上待っても電気が戻らない場合は、単なる電気の使いすぎではなく、「漏電」や「ショート」といった別の原因が考えられます。
その際は、分電盤の漏電ブレーカーや安全ブレーカーが落ちていないか確認してください。
ブレーカーが落ちる原因は3種類ある
ブレーカーが落ちる原因は、1つではありません。
どのブレーカーが落ちたかによって、原因と対処法が大きく異なります。
安全に関わる重要な設備のため、それぞれの役割を正しく知っておきましょう。
ここでは、3種類のブレーカーそれぞれの役割を解説します。
- アンペアブレーカーの役割
- 漏電ブレーカーの役割
- 安全ブレーカーの役割
詳しく見ていきましょう。
アンペアブレーカーの役割を理解する
アンペアブレーカーは、ご家庭全体で使用できる電気の「総量」を管理する装置で、「契約ブレーカー」とも呼ばれます。
電力会社と契約しているアンペア数に基づき、一度に使用できる電気の上限を決めています。
ご家庭で同時に多くの電化製品を使用し、契約アンペア数を超える電気が流れると、このブレーカーが自動的に作動して家全体の電気を遮断。
電線や電気設備が過熱して火災になるのを防ぐための安全機能です。
このブレーカーが落ちた場合は、その原因が「電気の使いすぎ」である可能性がもっとも高いといえます。
漏電ブレーカーの役割を理解する
漏電ブレーカーは、家の中のどこかで「漏電」を検知した際に、電気を遮断するための重要な安全装置です。
漏電とは、電気が本来の回路(電線やコード)から漏れ出し、電化製品の本体や壁などに流れてしまっている危険な状態を指します。
もし漏電を放置すれば、人が触れた際に「感電」したり、漏電箇所が発熱して「火災」を引き起こしたりする可能性があります。
漏電ブレーカーは、こうした重大な事故を防ぎ、人命を守るために作動するものです。
このブレーカーが落ちたときは、電気の使いすぎではなく、危険な異常が発生しているサインだと認識してください。
安全ブレーカーの役割を理解する
安全ブレーカーは、「配線用遮断器」とも呼ばれ、家の中の電気回路を細かく分けて管理する役割を持ちます。
分電盤の右側に小さなスイッチが複数並んでいるのが一般的です。
「キッチン」「リビング」「エアコン専用」など、特定のコンセントや部屋(分岐回路)ごとに担当が分かれています。
特定の回路で電気を使いすぎた場合や電化製品の故障、コードの損傷によるショートが発生した場合に、該当する回路の安全ブレーカーだけが落ちます。
アンペアブレーカーが落ちる原因と復旧方法
家全体の電気が突然消えた場合、アンペアブレーカーが落ちた可能性が高いです。
これは家庭内でもっともよく起こる、ブレーカートリップの原因の1つです。
原因はシンプルですが、復旧させる前にいくつか確認すべき点があります。
ここでは、アンペアブレーカーが落ちる原因と復旧の手順を説明します。
- 原因は電気の使いすぎ
- 消費電力の大きい家電一覧
- 復旧の手順(直し方)
正しい手順で復旧し、再発を防ぐための対策を理解しておきましょう。
原因は電気の使いすぎを把握する
アンペアブレーカーが落ちる原因は、ご家庭全体での「電気の使いすぎ」です。
使用している電化製品の消費電力の合計が、電力会社との契約アンペア数(契約容量)の上限を一時的に超えてしまったことを意味します。
たとえば、30Aで契約しているご家庭で考えてみましょう。
電子レンジ(約15A)とヘアドライヤー(約12A)を同時に使うと、それだけで合計27Aに達します。
その状態でエアコンが起動したりすると、簡単に30Aの上限を超えてしまいます。
その結果、安全装置が作動し、家全体の電気が遮断されるのです。
消費電力の大きい家電を把握する
アンペアブレーカーが落ちるのを防ぐには、どの家電がとくに多くの電力を消費するのか把握しておくことが大切です。
熱を発生させる家電や、モーターの起動時に大きな電力が必要な家電は、消費アンペア数が高い傾向にあります。
以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
電化製品
アンペア(A)の目安
IHクッキングヒーター
約20~30
電子レンジ
約10~15
アイロン
約12~14
IHジャー炊飯器(炊飯時)
約13
ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時)
約13
ヘアドライヤー
約8~12
掃除機
約3~8
これらの家電製品を同時に使用すると、契約アンペア数をすぐに超えてしまう可能性があるため、使用する時間をずらすなどの工夫が必要です。
復旧の手順(直し方)を知る
アンペアブレーカーが落ちた場合、安全に復旧させるための正しい手順があります。
原因となった電気の使いすぎ状態を解消しないままブレーカーを戻しても、すぐにまた落ちてしまうためです。
- 停電の直前に使用していた消費電力の大きい電化製品の電源スイッチを切るか、コンセントからプラグを抜く
- 分電盤にあるアンペアブレーカーのつまみを「入(ON)」に戻す
これで家全体の電気が復旧するはずです。
電気が戻ったら使用を控えていた家電を使い始めますが、再びブレーカーが落ちないよう、同時に使用する数を減らし、時間をずらして使いましょう。
漏電ブレーカーが落ちる原因と復旧方法
漏電ブレーカーが落ちた際は、むやみに戻さず、慎重な手順を踏む必要があります。
ここでは、漏電ブレーカーが落ちる原因と対処法について、以下4つを解説します。
- 原因は漏電や配線のショート
- 漏電は火災や感電の危険がある
- 漏電箇所を特定する復旧手順
- 漏電を特定したら専門家に連絡する
それぞれ見ていきましょう。
原因が漏電や配線のショートだと知る
漏電ブレーカーが落ちるおもな原因は、ご家庭内の電気回路のどこかで「漏電」が発生しているか、「配線のショート」が起きているためです。
電化製品の故障や内部の劣化、電源コードの損傷、またはコンセント内部への水の侵入などが要因となります。
とくに、洗濯機や温水便座、食洗機といった水回りの家電は、漏電が起きやすい場所です。
電気の使いすぎではなく、ご家庭の電気設備に重大な異常が発生していると考えてください。
漏電による火災や感電の危険性を知る
漏電ブレーカーが落ちた状態を「危険なサイン」と強調するのには、明確な理由があります。
それは、漏電を放置することが「火災」や「感電」といった、人命に関わる重大な事故に直結するおそれがあるためです。
漏電箇所は異常に発熱して火災の原因となることがあります。
気づかずにその電化製品や濡れたコンセントに触れると、身体に電気が流れて感電するおそれがあります。
漏電ブレーカーは、こうした最悪の事態を防ぐために作動する安全装置です。
何度も無理やりスイッチを入れ直す行為は、危険ですのでやめてください。
漏電箇所を特定する復旧手順を実行する
漏電ブレーカーが落ちた場合は、むやみにスイッチを戻さず、どの回路で危険な漏電が発生しているかを特定する「切り分け作業」を行います。
これにより、安全な回路だけを復旧させられます。
以下の手順で慎重に操作してください。
手順
操作内容
1
アンペアブレーカーと、並んでいるすべての安全ブレーカー(小さいスイッチ)を「切(OFF)」にする
2
漏電ブレーカーも「切(OFF)」にする
3
アンペアブレーカーを「入(ON)」にする
4
漏電ブレーカーを「入(ON)」にする
5
最後に、安全ブレーカーを1つずつ、間隔をあけながら「入(ON)」にする
ある安全ブレーカーを「入」にした瞬間に、再び漏電ブレーカーが落ちた場合、その安全ブレーカーが担当する回路で漏電が発生していると特定できます。
漏電を特定したら専門家に連絡する
漏電している回路が特定できた場合、ご自身で行う応急処置はそこまでです。
漏電の修理には専門的な知識と資格が必要であり、感電などのおそれを伴うため、決して無理をしてはいけません。
漏電が特定された回路の安全ブレーカーは、「切(OFF)」にしたままにしてください。
その後、それ以外の安全な回路の安全ブレーカーをすべて「入(ON)」に戻し、最後に漏電ブレーカーを「入(ON)」にします。
これで、問題の回路を除くほかの部屋の電気を、一時的に安全に使えます。
速やかに地域の電力会社(送配電事業者)や電気工事店に連絡し、点検と修理を依頼してください。
安全ブレーカーが落ちる原因と復旧方法
家全体は停電していないのに、「リビングだけ電気が消えた」という場合、分電盤の右側にある小さな安全ブレーカーのどれかが落ちているはずです。
ここでは、安全ブレーカーが落ちる原因と復旧方法について、以下3つを解説します。
- 原因は特定の回路の使いすぎ
- 家電の故障やショートも原因になる
- 復旧と原因特定の手順
この場合も、原因を特定しながら復旧作業を行うことが大切です。
原因が特定の回路の使いすぎ
安全ブレーカーが落ちるもっとも一般的な原因は、そのブレーカーが管理する特定の回路で電気を使いすぎていることです。
各安全ブレーカーは、約20Aが上限です。
たとえば、キッチン用の回路で電子レンジと炊飯器、電気ケトルを同時に使用すると、上限の20Aを超えてしまい、キッチンの安全ブレーカーが落ちます。
この場合、家全体の電気はついたままで、キッチンだけが停電状態になります。
このように、原因となる場所が限定されるのが特徴です。
家電の故障やショートも原因になる
電気の使いすぎ以外にも、安全ブレーカーが落ちる原因があります。
それは、その回路に接続されている家電製品自体の故障や、内部でのショートです。
長年使用している古い家電や、電源コードが損傷している家電は、内部でショートを起こしやすい状態です。
ショートが起きると、回路に大きな電流が一気に流れるため、安全ブレーカーがそれを検知して電気を遮断します。
何度試しても同じ家電を使うとブレーカーが落ちる場合は、その家電の故障を疑いましょう。
復旧と原因特定の手順
安全ブレーカーが落ちた場合、まずはその回路で使用していた家電製品の電源プラグをコンセントから抜きます。
その後、分電盤で落ちている安全ブレーカーのスイッチを「入」にしてください。
もし、スイッチを「入」にしてもすぐにまた落ちてしまう場合は、家電の故障や配線のショートが考えられます。
その際は、どの家電が原因か特定するために、1つずつコンセントに差して試します。
特定の家電を差したときにブレーカーが落ちるなら、その家電の使用を中止し、修理や買い替えを検討しましょう。
いつもと同じなのにブレーカーが落ちる原因
「とくに電気を使った記憶はないのに」「昨日までと同じ使い方なのに」突然ブレーカーが落ちると、原因不明で不安になるものです。
ここでは、いつもと同じなのにブレーカーが落ちる場合に考えられる3つの原因を解説します。
- 家電の隠れた劣化や異常
- 雨や湿気による漏電
- ブレーカー自体の老朽化
思い当たる節がないか、確認してみてください。
家電の隠れた劣化や異常を疑う
「いつもと同じ」と思っていても、ご家庭の電化製品は目に見えないところで日々劣化が進んでいます。
長年使用している家電製品は、内部の部品や配線が古くなることで絶縁性能が低下し、ごくわずかな電気が漏れ出す「隠れ漏電」を起こしている可能性があります。
見た目は正常に動いていても、内部では異常が進んでいるケースです。
この漏電が、何かの拍子で漏電ブレーカーの検知レベルに達し、突然ブレーカーが落ちることがあります。
特定の家電のスイッチを入れた瞬間に落ちるわけではないため、使用者にとっては「原因不明」と感じやすいトラブルの1つです。
雨や湿気による漏電を疑う
雨の日や湿度の高い日に限って漏電ブレーカーが落ちる場合、屋外の配線や機器が原因で漏電している可能性があります。
たとえば、屋外コンセントの防水性が低下していたり、給湯器やエアコンの室外機などの配線が雨水で濡れたりすることで漏電が発生します。
また、壁の内部で雨漏りが発生し、壁内の配線が濡れて漏電を引き起こすケースも考えられるでしょう。
天候とブレーカーが落ちるタイミングに関連性がある場合は、屋外の設備や雨漏りの可能性を疑い、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
ブレーカー自体の老朽化を疑う
ブレーカー(分電盤)にも寿命があり、一般的にブレーカーの交換時期の目安は約10~15年とされています。
古いブレーカーは、内部の部品が劣化し、正常に機能しなくなることがあります。
たとえば、定格以下の電流でも過敏に反応して落ちてしまったり、反対に過電流が流れても作動しなかったりするケースです。
頻繁にブレーカーが落ちる場合や設置から10年以上経過している場合は、ブレーカー自体の老朽化を疑い、電気工事店に点検や交換を相談しましょう。
まとめ:ブレーカーが落ちる原因を理解して正しく対策しよう
ブレーカーが落ちる原因は「電気の使いすぎ」のほか、「漏電」や「ショート」といった危険なサインの場合があります。
とくに漏電ブレーカーが落ちた場合や、原因不明のまま繰り返し落ちる場合は、火災や感電のおそれがあるため放置は危険です。
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