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ブレーカーが故障?原因の調べ方から修理の連絡先まで解説

突然、家全体の電気が消えたり、ブレーカーを上げてもすぐに落ちたりすると不安になるものです。
ブレーカーが作動するには必ず原因があり、電気の使いすぎなのか、漏電やショートといった危険なサインなのかを正しく見極める必要があります。

本記事では、ブレーカーの故障が疑われる症状と原因の特定方法、自分でできる安全な調べ方を解説します。
万が一の電気トラブルに備えて参考にしてください。

目次

ブレーカーが故障したかも?よくある症状と確認方法

ブレーカーが落ちた際、それが安全装置の正常な作動なのか、機器の故障なのかを判断するのは難しいかもしれません。

ここでは、ブレーカーの故障が疑われる代表的な5つの症状を解説します。

  • ブレーカーを上げてもすぐ落ちる
  • ブレーカーを上げても電気がつかない
  • ブレーカーが上がらない・戻らない
  • 焦げ臭い匂いや異音がする
  • ブレーカー本体が熱を持っている

これらの症状が見られた場合は、とくに注意深く原因を調べる必要があります。

ブレーカーを上げてもすぐ落ちる

ブレーカーのスイッチを「入」に戻しても、数秒後、あるいは瞬時に「切」に戻ってしまう症状です。
これは、ブレーカーが作動した原因が解消されていないことを示しています。

原因としてもっとも多いのは、電気の使いすぎ(過電流)か、回路のショート(短絡)です。
もし、家電のコンセントをすべて抜いても特定のブレーカーが落ちる場合は、ショートの可能性が高いでしょう。
ショートは火災につながる危険な状態のため、その回路の使用を中止し、専門家による点検を依頼してください。

ブレーカーを上げても電気がつかない

ブレーカーのスイッチはすべて「入」になっているのに、家の一部または全体の電気がつかないケースです。
この場合、いくつかの可能性が考えられます。

まず、スマートメーターが設置されている家庭では、アンペアブレーカーが内蔵されており、自動復旧するまで一時的に電気がつかないことがあります。
次に、電力会社側のトラブル(地域停電)の可能性です。

もし自宅だけ電気がつかず、ブレーカーも落ちていないなら、分電盤や配線の故障が疑われます。
この場合は個人での対処が難しいため、速やかに専門家へ連絡してください。

ブレーカーが上がらない・戻らない

ブレーカーのスイッチが「切」の位置や、あるいは「入」と「切」の中間(中立)で止まってしまい、指で「入」に戻そうとしても固くて動かない症状です。

これは「故障した」と勘違いされやすいですが、実は安全装置が正常に作動したサインかもしれません。
漏電やショートを検知すると、内部の機構が作動して意図的にロックがかかるためです。

この状態を復旧させるには、まずスイッチを一度「切」の方向へ完全に押し下げ、カチッと音がしてリセットされたら、再度「入」に上げてください。

焦げ臭い匂いや異音がする

分電盤やブレーカーの周辺から、プラスチックが焼けたような焦げ臭い匂いや、「ジージー」といった異音がする場合、これは危険なサインです。

内部の配線や端子台が過熱によって溶けたり、ショートしたりしている可能性があります。
この症状を放置すると、発熱から発火し、火災につながるおそれが極めて高い状態です。

匂いや異変に気づいたら、すぐにメインのブレーカーを「切」にして電気を止め、ただちに電気工事業者などの専門家へ緊急点検を依頼してください。

ブレーカー本体が熱を持っている

ブレーカー本体に触れたとき、人肌よりも明らかに熱を持っている場合も、故障や異常のサインです。
ブレーカーは電気を流すため多少の熱は持ちますが、異常な発熱は危険です。
原因として、ブレーカー内部の接触不良や、ネジの緩みによる抵抗の増大が考えられます。

熱い状態が続くと、ブレーカーの誤作動や寿命の短縮につながるだけでなく、焦げ臭い匂いや発火の元にもなります。
定期的に分電盤を確認し、異常な発熱がないかチェックすることも大切です。

【種類別】ブレーカーが落ちる3つの原因

ブレーカーが落ちる(作動する)のは、電気が危険な状態になったことを知らせるためです。

ここでは、ブレーカーの種類別に、作動するおもな3つの原因を解説します。

  • 電気の使いすぎ(アンペアブレーカー)
  • 漏電している(漏電ブレーカー)
  • 特定の場所での電気の使いすぎやショート(安全ブレーカー)

どのスイッチが「切」になっているかを確認し、原因を特定しましょう。

電気の使いすぎ(アンペアブレーカー)

分電盤の左端にある1番大きなブレーカー(アンペアブレーカー)が落ちた場合、その原因は家全体での「電気の使いすぎ(過電流)」です。

これは、ご家庭で契約しているアンペア数(例:40Aなど)を超える電力を同時に使用したために作動したものです。
復旧させるには、まず使用していた家電のコンセントをいくつか抜き、使用電力を減らしてください。

その後、ブレーカーのスイッチを「入」に戻せば復旧します。
近年はスマートメーターにこの機能が内蔵され、物理的なブレーカーがない場合もあります。

漏電している(漏電ブレーカー)

分電盤の中央付近にある「テストボタン」付きのブレーカー(漏電ブレーカー)が落ちた場合、原因は「漏電」です。

漏電とは、電気が本来の回路から漏れ出している危険な状態で、感電や火災の直接的な原因となります。
漏電ブレーカーは、この異常を検知して電気を遮断するもっとも重要な安全装置です。

漏電ブレーカーが落ちた場合は、電気の使いすぎとは異なり、深刻なトラブルの可能性があります。
むやみに復旧させず、後述する手順で漏電箇所を特定するか、専門家へ連絡してください。

特定の場所での電気の使いすぎやショート(安全ブレーカー)

分電盤の右側に複数並んでいる小さなブレーカーのうち、特定の1つだけが落ちた場合、原因はその回路での「電気の使いすぎ」または「ショート」です。
安全ブレーカーは「キッチン」「リビング」など、部屋ごとや回路ごとに分かれているためです。
この場合は、その部屋で使っていた家電を止めてからスイッチを戻します。

もし、家電のコンセントをすべて抜いてもスイッチを入れた瞬間に落ちる場合は「ショート」が疑われます。
火災の危険があるため、その回路は使わずに専門家へ連絡しましょう。

ブレーカーが故障かなと思ったら?自分でできる調べ方

ブレーカーが落ちた原因が「電気の使いすぎ」であれば対処は簡単ですが、「漏電」や「故障」が疑われる場合は、安全に原因を特定する必要があります。

ここでは、自分でできる3つの調べ方を紹介します。

  • 漏電ブレーカーのテストボタンを押してみる
  • 安全ブレーカーを1つずつ入れて漏電箇所を特定する
  • 家電のコンセントを抜いて原因を切り分ける

それぞれ見ていきましょう。

漏電ブレーカーのテストボタンを押してみる

漏電ブレーカー自体が正常に機能しているか、あるいは故障していないかを確認するもっとも簡単な方法が「テストボタン」の操作です。

まず、漏電ブレーカーが「入」の状態で、小さな「テストボタン」を押します。
正常であれば、ボタンを押した瞬間に漏電ブレーカーが「切」に落ち、家全体の電気が遮断されます(復旧させるにはスイッチを「入」に戻します)。

もし、テストボタンを押してもブレーカーが落ちない場合は、漏電ブレーカー自体が故障している可能性が高いです。
万が一漏電しても電気が切れない危険な状態ですので、すぐに専門家へ交換を依頼してください。

安全ブレーカーを1つずつ入れて漏電箇所を特定する

漏電ブレーカーが落ちてしまった場合、家のどこで漏電しているかを特定する手順です。

まず、すべての安全ブレーカー(小さいブレーカー)を「切」にしてください。
次に、漏電ブレーカーを「入」にします。
その後、安全ブレーカーを1つずつ順番に「入」にしていきます。

特定の安全ブレーカー(例:台所)を入れた瞬間に、再び漏電ブレーカーが落ちた場合、その「台所」の回路が漏電の原因箇所です。

漏電箇所が特定できたら、その回路の安全ブレーカーは「切」のままにし、残りの安全ブレーカーと漏電ブレーカーを「入」に戻します。
漏電回路は使用せず、専門家へ修理を依頼してください。

家電のコンセントを抜いて原因を切り分ける

「安全ブレーカーがすぐ落ちる」または「漏電箇所を特定した」場合、原因が「配線」なのか「家電製品」なのかを切り分ける作業です。

原因と特定された回路に接続されている家電製品のコンセントを、すべて抜いてください。
その状態で、再度その安全ブレーカーを「入」にしてみます。

もしブレーカーが落ちなければ、原因は抜いた家電製品のどれかが故障している可能性が高いです。
もし、家電をすべて抜いた状態でもブレーカーが落ちる場合は、家電ではなく壁の中の配線やコンセント自体が原因と考えられます。

ブレーカーが故障した!どこに連絡すればよい?

セルフチェックを試みても原因が分からない、あるいは明らかにブレーカー本体の故障や漏電・ショートが疑われる場合、専門家への連絡が必要です。

ここでは、連絡先を3つのケースに分けて解説します。

  • 賃貸住宅の場合は大家さんや管理会社
  • 持ち家の場合は電力会社か電気工事業者
  • 状況別の最適な連絡先の選び方

適切な相手に連絡することが、スムーズな解決につながります。

賃貸住宅の場合は大家さんや管理会社

アパートやマンションなどの賃貸住宅にお住まいの場合、ブレーカーの故障が疑われたら、まずは「大家さん」または「管理会社」に連絡してください。
賃貸物件の分電盤やブレーカーは、部屋の備え付け設備であり、その所有者はオーナー(大家)です。
法律上、設備の修繕義務はオーナーにあるためです。

経年劣化や自然故障による修理・交換費用は、原則としてオーナーが負担します。
必ず先に管理会社へ状況を報告し、指示を仰いでください。

持ち家の場合は電力会社か電気工事業者

戸建てや分譲マンションなどの持ち家にお住まいの場合、連絡先は「電力会社」か「電気工事業者」のどちらかになります。

判断の基準は、トラブルの原因が「電力会社側(屋外)」にあるか、「自宅側(屋内)」にあるかです。
もし近隣一帯が停電しているなら、電柱や電線など電力会社の設備トラブルの可能性が高いため「電力会社」へ連絡します。

一方、停電が自宅だけで、ブレーカーの故障や漏電が原因の場合は、建物内部の設備の問題となるため「電気工事業者」が対応窓口となります。

状況別の最適な連絡先の選び方

持ち家の場合、どちらに連絡すべきか迷うこともあるでしょう。
たとえば、「近隣一帯が停電している」場合は、電線や電柱など供給設備側のトラブルの可能性があるため、電力会社に連絡します。

一方、「特定の部屋だけ電気がつかない」「ブレーカーから異音がする」場合、自宅内の設備の問題である可能性が高いため、業者に相談するのが適切です。
漏電の疑いがある場合も専門的な調査が必要なため、電気工事業者に依頼しましょう。
判断に迷う場合は、まず電力会社のカスタマーサービスに電話してみるのがよいでしょう。

ブレーカーの寿命と交換のタイミング

ブレーカーは半永久的に使えるものではなく、精密な安全装置であるため寿命が存在します。

ここでは、ブレーカーの寿命と交換すべきサインについて解説します。

  • ブレーカーの寿命は約10年から15年
  • 交換を検討すべきサイン
  • 定期的な点検の重要性

ご自宅の安全を守るため、設置年数や状態を確認してみてください。

ブレーカーの寿命は約10年から15年

ブレーカーや分電盤の交換推奨時期、すなわち一般的な寿命は、設置から約10年~15年とされています。
この年数を過ぎたブレーカーは、内部の部品が劣化し、安全装置が敏感になりすぎて不要な停電(誤作動)を起こしたり、反対に鈍くなったりしてしまいます。

もっとも危険なのは、過電流や漏電が発生しても「作動しない(落ちない)」状態になることです。
10年以上経過しているブレーカーは、見た目に問題がなくても、安全のために交換を検討する時期といえます。

交換を検討すべきサイン

設置から10年未満であっても、特定の症状が見られる場合は交換が必要です。
もっとも分かりやすいサインは、「焦げ臭い匂い」「異音」「本体の異常な発熱」です。
これらは末期症状であり、即時交換を推奨します。

それ以外にも「いつもと同じ電気の使い方なのに、頻繁にブレーカーが落ちる」症状も、ブレーカー内部の劣化や故障が原因である可能性があります。
漏電ブレーカーの「テストボタンを押しても作動しない」場合も、確実に故障しているため交換が必要です。

定期的な点検の重要性

ブレーカーの故障による事故を防ぐには、定期的な点検が欠かせません。
ご家庭でもできる点検として「月に1回、漏電ブレーカーのテストボタンを押す」ことがあります。
テストボタンを押して正常にブレーカーが落ちるかを確認するだけで、漏電ブレーカーが故障していないかをチェックできます。

分電盤のフタを定期的に開け、ホコリが溜まっていないか、変色や異臭がないかを目視で確認する習慣も大切です。
とくに、漏電ブレーカーが設置されていない古い分電盤(黒い箱型など)は、漏電を検知できないため危険です。

ブレーカーの故障を防ぐための対策

ブレーカーが落ちる原因の多くは、電気の安全な使い方を意識することで未然に防げます。

ここでは、今日から実践できる3つの予防対策を紹介します。

  • 消費電力の大きい家電を同時に使わない
  • タコ足配線をやめてコンセントを分ける
  • 契約アンペア数を見直す

これらの対策は、安全だけでなく節電にもつながります。

消費電力の大きい家電を同時に使わない

アンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちる最大の原因は、消費電力の大きな家電の同時使用です。

とくに「熱」を発する家電(ドライヤーや電子レンジ、オーブントースター、電気ケトル、IHクッキングヒーターなど)は、多くの電力を消費します。
これらの家電は、使用する時間帯をずらす工夫が効果的です。

どの家電がどれくらい電力を消費するかを把握し、同時に使う組み合わせを避けることが、過電流による停電を防ぐもっとも簡単な方法です。

タコ足配線をやめてコンセントを分ける

テーブルタップなどを使った「タコ足配線」は、安全ブレーカーが落ちる原因の1つです。
1つのコンセント(回路)から取れる電気の量には上限(通常15A=1500Wまで)があります。
タコ足配線で多くの家電を接続すると、その上限を簡単に超えてしまい、安全ブレーカーが作動します。

また、タコ足配線はコンセントやプラグ部分にホコリが溜まりやすく、発熱やショート、火災(トラッキング現象)の原因にもなりかねません。
消費電力の大きな家電は壁のコンセントに直接挿し、1つのコンセントに負荷を集中させないよう使用するコンセントを分けることを心がけてください。

契約アンペア数を見直す

ライフスタイルの変化によって使用する家電が増え、頻繁にアンペアブレーカーが落ちるようになった場合は、契約アンペア数そのものを見直しましょう。
現在の電気の使用状況に対して契約アンペア数が不足している可能性があります。
契約アンペア数を上げることで、一度に使える電気の量が増え、ブレーカーが落ちる心配を減らせます。

ただし、契約アンペア数を上げると基本料金も高くなる点には注意が必要です。
ご家庭の電気使用量を把握し、適切な契約アンペア数を選ぶことが、快適で安全な電気利用につながります。

まとめ:ブレーカーの故障は原因を特定して正しく対処しよう

ブレーカーが落ちる原因や対処法を知っておくことは、いざというときに役立ちます。
しかし、頻繁に落ちる、原因が特定できない、復旧しないといった場合は、漏電や故障など深刻な問題が隠れている可能性があります。​
電気のトラブルは放置せず、専門家に相談することが安全への第一歩です。

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