ブレーカーは普段あまり意識する設備ではないため、「問題なく電気が使えていれば交換する必要はない」と考える方もいるでしょう。
しかし、ブレーカーや分電盤は長期間の使用によって内部部品が劣化し、誤作動や異常発熱などにつながる場合があります。
また、外観に問題がなくても内部の接点や機構が劣化している可能性があるため、見た目だけで状態を判断することはできません。
本記事では、ブレーカーが劣化する原因や確認したい症状、交換時期の目安、古い設備を使い続けるリスク、点検・交換を依頼する際のポイントを解説します。
ブレーカーの劣化によって現れる主な症状
まずは、ブレーカーが劣化してるときに現れる主な症状について解説します。
異常の原因はブレーカーだけでなく配線や家電にある可能性もあるため、症状が現れた場合は自己判断せず点検を依頼しましょう。
以前よりブレーカーが頻繁に落ちる
以前と同じ家電を同じように使用しているにもかかわらず、最近ブレーカーが頻繁に落ちるようになった場合は、設備の状態を確認する必要があります。
特に長期間使用したブレーカーでは、経年劣化によって動作不良が生じる可能性があります。ただし、頻繁に落ちる原因は過電流や漏電なども考えられるため、劣化と決めつけず点検を受けることが重要です。
ブレーカーを上げても正常に「入」にならない
ブレーカーが落ちた後にスイッチを戻しても「入」の位置で固定されない場合や、すぐに再び落ちる場合には注意してください。
回路で過電流や漏電などの異常が続いている可能性があるほか、ブレーカー本体が故障している場合も考えられます。
焦げ臭いにおいや異音がする
分電盤やブレーカー周辺から焦げ臭いにおいがする場合や、「ジジジ」「パチパチ」といった普段とは異なる音が聞こえる場合は、設備内部で異常が起きている可能性があります。
例えば、端子部分の接触状態が悪くなると発熱し、周辺の部品へ影響することも考えられます。
また、異臭や異音がある場合は、使用を続けず早めに点検してください。
ブレーカーや分電盤が変色・変形している
ブレーカーや分電盤の樹脂部分が黒や茶色に変色している、変形やひび割れがある場合は、経年劣化や異常発熱などの影響を受けている可能性があります。
また、変形や破損によって内部へホコリなどが入りやすくなることも考えられるでしょう。
外観に明らかな異常があっても、自分でカバーを外して内部を確認する必要はありません。
焦げや変形などが確認できた場合は、分電盤へ不用意に触れず、専門業者へ状態を確認してもらうことが重要です。
ブレーカーが劣化する主な原因
ブレーカーの劣化は、単に設置から長い年月が経過したことだけで起こるわけではありません。
日常的に電気を使用することで内部部品へ負荷がかかるほか、高温や湿気などの環境、端子や接続部分の状態なども影響する可能性があります。
ブレーカーが劣化する主な原因は、以下の通りです。
長期間の使用による経年劣化
ブレーカーは長期間使用することで内部の接点や機械部品などが徐々に劣化していきます。
また、普段は問題なく電気が使えていても、安全装置として必要な性能が設置当初と同じ状態で保たれているとは限りません。
配線用遮断器や漏電遮断器について一般用途では15年、住宅用については13年を交換推奨時期といわれています。
そのため、長期間交換していない場合は、不具合が発生する前に点検や更新を検討するとよいでしょう。
端子部分の緩みや接触状態の悪化
ブレーカーや分電盤では、電線と端子が適切に接続されていることが安全な通電に欠かせません。
しかし、長期間の使用などによって接続部分の状態が悪くなると、電気抵抗が増えて局所的に発熱する可能性があります。
長年の振動によって端子ねじが緩み、接触不良による過熱や焦げにつながる場合があるといわれています。
こうした異常は外側から判断できないため、締め直そうとせず専門業者へ点検を依頼してください。
高温や湿気など周辺環境の影響
電気設備に使用される部品は、温度や湿度などの環境によって劣化の進行が変わる場合があります。
大阪ガスは屋外分電盤に関する資料で、一般的に電子機器は使用環境の温度が高いほど劣化が進みやすいことを説明しています。
また、水分や湿気の影響を受ける場所では、絶縁性能の低下など別の問題も考えられるでしょう。
分電盤は勝手に移動できる設備ではないため、設置環境が気になる場合は電気工事業者へ相談してください。
繰り返しブレーカーが作動している
電気を使いすぎるたびに配線用ブレーカーが落ちたり、漏電によって漏電ブレーカーが頻繁に作動したりしている場合は、その状態を放置しないことが重要です。
ブレーカーは異常から設備を守るための安全装置であり、頻繁に作動しているなら、電気の使用方法や家電、配線などに原因がある可能性があります。
しかし、単にブレーカーを上げ直すだけでは根本的な解決になりません。
どのブレーカーが落れているのかを確認し、必要に応じて電気の使用状況や設備を見直しましょう。
ブレーカーの交換時期は13~15年程度が1つの目安
住宅用分電盤に内蔵されるブレーカーは、設置から13~15年程度が交換や点検を検討する1つの目安です。
ただし、この年数を超えると必ず故障するわけではなく、使用環境や取り扱い状況によっては目安より早く劣化が進む場合もあります。
そのため、使用年数だけでなく、ブレーカーが頻繁に落ちる、焦げ臭い、異音がするなどの症状も確認することが大切です。
また、長期間使用しているブレーカーで異常や誤作動が続く場合は、単なる電気の使いすぎと判断せず、専門業者に点検を依頼し、劣化の状態や交換の必要性を確認しましょう。
劣化したブレーカーを使い続けるリスク
劣化したブレーカーを使い続けると、頻繁な停電など日常生活の不便につながるだけでなく、安全面にも影響する可能性があります。
ブレーカーは異常時に電気を遮断する重要な役割を担うため、本体が正常に作動できない状態は望ましくありません。
また、接続部分などで異常発熱が起きていれば、周辺設備の損傷につながるおそれもあります。
古いという理由だけで危険と断定はできませんが、異常を確認した場合は放置しないことが大切です。
誤作動によって停電する可能性がある
長期間使用したブレーカーでは経年劣化が進み、本来は遮断する必要がない状態でも作動して停電につながる場合があります。
東京電力パワーグリッドも、ブレーカーの経年劣化による誤作動で頻繁に停電する可能性を紹介しています。
しかし、ブレーカーが頻繁に落ちる原因は電気の使いすぎや漏電、家電の故障などさまざまです。
そのため、劣化による誤作動だと自己判断せず、電気の使用状況や住宅設備を含めて原因を確認してもらいましょう。
必要なときに適切に作動しない可能性がある
ブレーカーは過電流や漏電などを検知した際に回路を遮断することで、住宅内の電気設備を保護しています。
そのため、内部部品が劣化して本来の性能を維持できなくなると、必要なタイミングで正常に作動できない可能性も考えなければなりません。
日常的に電気が使えていることと、安全装置が正常に機能することは同じではないのです。
長期間使用している設備では、不具合が起きるまで使い続けるのではなく、交換目安を参考に点検や更新を検討しましょう。
接触不良による異常発熱につながる場合がある
ブレーカー周辺の端子や接続部分で接触不良が起こると、その部分の電気抵抗が増えて異常に発熱する場合があります。
東京電力パワーグリッドでは、端子ねじの緩みから接触不良が生じ、過熱して焦げることがあると説明しています。
焦げ臭いにおいや変色などが確認できる場合は、単なる古さとして放置しないでください。
また、原因を確認するために分電盤の内部へ触れることは避け、安全な範囲で電気の使用を止めて専門業者へ相談しましょう。
ブレーカーの劣化と電気の使いすぎを見分けるポイント
ブレーカーが頻繁に落ちるからといって、必ず本体が劣化しているとは限りません。
例えば、エアコンや電子レンジ、ドライヤーなどを同時に使用して容量を超えた場合にもブレーカーは正常に作動します。
ブレーカーの劣化と、電気の使い過ぎているのを見分けるには、以下のポイントを確認することが大切です。
特定の家電を同時に使ったときだけ落ちるか確認する
エアコンや電子レンジ、ドライヤーなど消費電力の大きい家電を同時に使用したときだけブレーカーが落ちる場合は、劣化ではなく電気の使いすぎが原因となっている可能性があります。
また、特定の部屋で複数の家電を同時に使用すると、家庭全体の契約容量に余裕があっても配線用ブレーカーが落ちる場合も考えられます。
まずは使用する家電を減らし、症状が改善するか確認しましょう。
それでも頻繁に落ちる場合は、設備側の異常を疑う必要があります。
電気をあまり使っていなくても落ちる場合は点検する
ほとんど家電を使っていない状態でも同じブレーカーが頻繁に落ちる場合は、単純な容量オーバー以外の原因が考えられます。
どのブレーカーが落ちているかによって原因が異なるため、それぞれ確認して対処することが重要です。。
また、漏電や家電の故障、ブレーカー自体の経年劣化なども考えられるでしょう。
使用量を減らしても改善しない場合は、何度も上げ直さず専門業者へ相談してください。
ブレーカーの劣化を確認するときにやってはいけないこと
ブレーカーの状態が気になっても、利用者自身が分電盤を分解したり、内部の端子や配線を触ったりすることは避けてください。
外側から確認できない異常がある場合でも、分電盤内部には通電している箇所があり、誤って触れると感電やショートにつながるおそれがあります。
ブレーカーの劣化を確認する際は、以下の行為を行ってはなりません。
分電盤を開けて内部の端子や配線を触る
ブレーカーが劣化しているか確認するために、分電盤のカバーを取り外して端子や配線へ触れることは危険です。
電気工事の内容によっては電気工事士の資格が必要であり、誤った作業によって感電や短絡、接触不良などを引き起こす可能性があります。
また、端子が緩んでいるように見えても自分で締め直さないでください。
専門業者であれば設備の状態を確認しながら必要な点検や交換を行えるため、内部の異常が疑われる場合は作業を任せましょう。
何度もブレーカーを上げ直して動作を確認する
ブレーカーが落れるたびに何度も上げ直して使用を続けることは避けてください。
電気の使いすぎであれば負荷を減らす必要があり、漏電や設備異常が原因であれば再通電によって危険な状態が続く可能性があります。
また、ブレーカー本体が劣化している場合も、繰り返し操作するだけでは根本的な解決になりません。
異常の原因が分からない場合や、復旧してもすぐに落ちる場合は、ブレーカーの操作を繰り返さず電気工事業者へ点検を依頼してください。
ブレーカーは定期的に状態を確認する
ブレーカーの劣化や異常を早期に把握するためには、定期的に分電盤の状態を確認することが大切です。
まず、カバーは外さず、外側から変色やひび割れがないか、焦げ臭さや普段と異なる音がしないかを確認しましょう。
ただし、発熱を確かめるために何度も触れたり、異臭の原因を探そうとして内部へ顔を近づけたりすることは避けてください。
また、明らかな異常がなくても、使用開始から13~15年程度経過している場合は点検や更新を検討する目安となります。
そのため、設置時期や交換履歴も確認し、劣化が疑われる場合や使用年数が長い場合は専門業者へ相談しましょう。
まとめ|ブレーカーの劣化は年数と症状の両方から判断しよう
ブレーカーは長期間使用することで内部の接点や機構などが劣化し、頻繁な遮断や誤作動、異常発熱などにつながる場合があります。
また、外観がきれいでも内部の状態まで判断できるわけではないため、長期間交換していない設備では注意が必要です。
住宅用ブレーカーは13年程度、一般用途の配線用遮断器・漏電遮断器では15年程度が交換を検討する目安とされています。
ただし、実際の劣化状態は設置環境や使用状況によって異なるため、年数だけで交換の必要性を判断する必要はありません。
特に、以前より頻繁にブレーカーが落ちる、焦げ臭い、異音や変色があるなどの症状が確認できる場合は、使用を続けず点検を受けてください。
分電盤を自分で分解・修理せず、電気工事業者へ状態を確認してもらい、必要に応じてブレーカーまたは分電盤の交換を検討しましょう。