コンセント周りが焦げ臭い、プラグが異常に熱いなど、電気回りのトラブルで不安を感じていませんか?
それは「トラッキング現象」と呼ばれる、火災につながる危険なサインかもしれません。
トラッキング現象は、電化製品の電源がオフでも、コンセントにプラグが刺さっているだけで発生するおそれがあります。
本記事では、トラッキング現象の仕組みからご家庭で今すぐ確認すべき場所、安全な対策を解説します。
ぜひご自宅のコンセントを点検する際にお役立てください。
トラッキング現象とは?
トラッキング現象とは、コンセント周りで発生する危険な電気火災の一種です。
気が付かないうちに進行し、重大な火災につながる可能性があります。
この現象は、特定の条件が揃うと発生するのが特徴です。
ここでは、トラッキング現象の基本的な知識として、以下3つを解説します。
- ほこりと湿気が引き起こす火災
- コンセントが発火する仕組み
- トラッキング火災の発生状況(件数)
まずはこの現象がなぜ危険なのかを正しく理解しましょう。
ほこりと湿気が引き起こす火災
トラッキング現象は、コンセントと電源プラグのすき間に蓄積した「ほこり」が原因で発生します。
通常、ほこり自体は電気を通しません。
しかし、そのほこりが空気中の水分や結露、水濡れなどによって「湿気」を帯びると状況が一変します。
湿気を含んだほこりは電気を通しやすい状態になり、漏電を引き起こしてしまうからです。
この現象の恐ろしい点は、電化製品の電源スイッチがオフになっていても、プラグがコンセントに接続されているだけで発生する可能性があることです。
知らない間に火災のリスクが進行するため、日頃の注意が求められます。
コンセントが発火する仕組み
トラッキング現象による発火は、時間をかけて段階的に進行します。
まず、プラグの刃の間にたまった湿ったほこりを介して、微弱な電流が流れて火花(スパーク)が発生。
この火花の熱がコンセントやプラグの樹脂部分を徐々に焦がし、「トラック」と呼ばれる電気の通り道(炭化導電路)を作ります。
一度このトラックが形成されると、そこを介してプラグの刃の間に大きな電流が流れ、最終的に発熱・発火に至ります。
これがトラッキング(Tracking=痕跡を追う)と呼ばれる由来です。
トラッキング火災の発生状況(件数)
トラッキング現象による火災は少なくありません。
たとえば、東京消防庁のデータによると、2016年から2020年の5年間で510件のトラッキング火災が発生しています。
また、電気コードなどが出火原因となる住宅火災において、トラッキングは主要な火災の経過の1つとなっています。
これらのデータは、コンセント周りの火災において、ほこりや湿気の管理がいかに重要であるかを示しているといえるでしょう。
日々の清掃を怠ることが、火災発生の確率を直接高めています。
参考資料:東京消防庁「6.コンセントの掃除を心掛けましょう。」
トラッキング現象のおもな原因
トラッキング現象は、複数の要因が組み合わさることで発生リスクが高まります。
ここでは、トラッキング現象を引き起こすおもな原因4つを紹介します。
- プラグ周辺にたまるほこり
- 結露や水濡れによる湿気
- コンセントプラグの変形や緩み
- たこ足配線による接点の増加や緩み
それぞれ見ていきましょう。
プラグ周辺にたまるほこり
トラッキング現象のもっとも基本的な原因は、プラグ周辺に蓄積するほこりです。
とくに冷蔵庫やテレビの裏側、家具の陰など、掃除の手が届きにくい場所にあるコンセントは注意しなければなりません。
これらの場所では、コンセントが長期間差しっぱなしにされやすく、ほこりが静かにたまっていきます。
ほこりがたまった状態が続くと、わずかな湿気を吸収しただけでも、前述の発火メカニズムが進行する条件が整ってしまいます。
目に見えない場所のコンセントほど、ほこりがたまっているリスクが高いと認識することが大切です。
結露や水濡れによる湿気
ほこりが蓄積しても、それだけでは発火に至りません。
第二の要因である「湿気」が加わることで、ほこりが電気を通すようになり、危険性が一気に高まります。
湿気の原因はさまざまです。
たとえば、台所や洗面所での水ハネ、加湿器からの蒸気、ペットの尿などがあげられます。
また、冬場に窓際で発生する「結露」も大きな原因となるでしょう。
エアコンのコンセントも、冷房使用時に結露しやすい場所の1つです。
このように、水周りや温度差の激しい場所では、とくに湿気への注意が必要です。
コンセントプラグの変形や緩み
コンセントプラグの変形や、コンセント側の差し込み口の緩みも、トラッキング現象のリスクを高めます。
プラグがコンセントに差し込まれていないと、接触不良を起こして異常発熱する可能性があるからです。
プラグとコンセントの間にすき間ができるため、ほこりが侵入しやすくなるという問題も生じます。
コードを強く引っ張って抜く癖があると、プラグの刃が変形したり、コンセント内部が緩んだりする原因となります。
古い配線器具は、変形や緩みがないか定期的に点検することが重要です。
たこ足配線による接点の増加や緩み
テーブルタップなどを使用した「たこ足配線」は、トラッキング現象の温床となりやすいです。
たこ足配線は接続するプラグの数が増えるため、それだけほこりがたまる「接点」が増えます。
多くのプラグを接続すると、その重みでタップやプラグに負荷がかかり、壁のコンセントとの接続部が緩みやすくなる危険も。
さらに、許容量を超える電力使用(過電流)による異常発熱が、プラグの樹脂部分を炭化させ、トラッキング現象を誘発することも指摘されています。
トラッキング現象が起こりやすい場所
トラッキング現象の原因である「ほこり」と「湿気」が揃いやすい場所は、ご家庭内にも多く潜んでいます。
ここでは、とくにトラッキング現象が起こりやすい危険な場所4つを紹介します。
- 冷蔵庫やテレビの裏
- 洗面所や台所の水周り
- エアコンのコンセント
- 家具に隠れたコンセント
ご自宅のコンセントが該当していないか、すぐに確認しましょう。
冷蔵庫やテレビの裏
冷蔵庫やテレビの裏側は、トラッキング現象の発生場所としてもっとも代表的です。
これらの家電は、一度設置すると長期間動かすことがありません。
そのため、コンセントは差しっぱなしになり、人の目も掃除の手も届きにくくなります。
結果として、コンセント周りには大量のほこりが蓄積しやすくなります。
とくに冷蔵庫は24時間稼働しており、モーターの熱で周辺の湿度も変化しやすい環境です。
大掃除の際などに、意識してほこりを取り除くことが火災予防に直結します。
洗面所や台所の水周り
洗面所や台所(キッチン)は、日常的に水や湯気を使用するため、常に湿度が高い環境です。
コンセントに水滴が直接かからなくても、空気中の高い湿度がほこりに吸収され、トラッキング現象を引き起こす条件が整いやすくなります。
とくにシンクや洗面台の近くにあるコンセントは、水ハネのリスクにもさらされています。
キッチンの場合は油汚れがほこりと結合して、さらに燃えやすい状態を作ることも。
水気とほこりの両方に注意が必要な場所です。
エアコンのコンセント
エアコン専用コンセントも、見落としがちな危険箇所の1つです。
エアコンは室内の空気と外気との温度差を生み出すため、とくに冷房使用時には、壁の内部やコンセント周辺で「結露」が発生しやすい状況になります。
壁内部で発生した結露がコンセントに伝わると、差し込まれたプラグとの間でトラッキング現象を引き起こすかもしれません。
エアコンは高い位置にあるため掃除がしにくく、長期間ほこりがたまりがちです。
シーズンオフの間にほこりがたまり、使い始めに事故が起こるケースもあります。
家具に隠れたコンセント
タンスや本棚、ソファといった大型家具の裏側に隠れてしまっているコンセントも、危険です。
冷蔵庫などと同様に、一度家具を配置すると、その裏側を掃除する機会はほとんどありません。
コンセントが家具で完全に覆われてしまうと、ほこりがたまり放題になるだけでなく、湿気がこもりやすい状態にもなります。
さらに、家具の重みで電源コードが圧迫され、断線や発熱(半断線)を起こすリスクも伴います。
家具の配置を工夫し、コンセント周りに空間を設けることも予防策の1つです。
トラッキング現象が起きやすい時期
トラッキング現象は、ほこりと湿気の条件さえ揃えば一年中発生する可能性があります。
ここでは、とくにトラッキング現象が起きやすいとされる2つの時期を解説します。
詳しく見ていきましょう。
湿気の多い梅雨の季節
トラッキング現象がもっとも発生しやすい時期の1つが、湿度の高い梅雨の季節です。
6月から7月にかけては、雨が続いて空気全体の湿度が一気に高まります。
この時期は、コンセント周りにたまったほこりが、空気中の水分を吸収しやすい状態になります。
たとえ水周りでなくても、室内のあらゆる場所でトラッキング現象の発生条件が整いやすくなるでしょう。
梅雨入り前には、ほこりがたまりやすい場所のコンセントを一度清掃しておくことが、効果的な予防策となります。
結露が発生しやすい冬場
梅雨と並んで注意が必要なのが、意外にも空気が乾燥する冬場です。
冬は、暖房によって室内の温度が上昇します。
一方、外気に面した壁や窓際は冷やされており、この温度差によって冷たいコンセントの表面や壁の内部で「結露」が発生しやすくなります。
この結露の水滴が、ほこりがたまったコンセントを濡らすことで、トラッキング現象が引き起こされるのです。
とくに窓際や北側の部屋のコンセントは、冬場の結露に警戒が必要です。
加湿器の使用も湿度を上げる一因となります。
関連記事:突然テレビが映らない!アンテナが原因?自分でできる対処法を解説
トラッキング火災の前兆と見分け方
トラッキング現象は静かに進行しますが、火災に至る前にはいくつかの危険なサイン(前兆)が現れることがあります。
ここでは、トラッキング火災の前兆として注意すべき、以下4つの現象を紹介します。
- コードを動かすと器具の電源が落ちる(点滅する)
- コンセント周りが変色している
- プラグが異常に熱を帯びる
- 焦げ臭いにおいがする
これらの症状を発見したら、直ちに使用を中止してください。
コードを動かすと器具の電源が落ちる(点滅する)
電源コードを動かした際に、接続している電化製品の電源が落ちたり、照明が点滅したりする症状は、コード内部での断線(半断線)が疑われます。
コードが家具の下敷きになったり、強く折り曲げられたりすると、内部の銅線が部分的に切れてしまうことも。
この状態(半断線)で電気を流し続けると、切れた部分が異常発熱し、コードの被覆やプラグ本体を溶かして炭化させます。
この熱がトラッキング現象を誘発したり、コード自体から発火したりする原因となるため、危険な前兆です。
コンセント周りが変色している
コンセントの差し込み口の周りや、電源プラグの本体が、黒くすすけたように変色している、あるいは茶色く焦げている場合は、すでに危険な状態です。
これは、トラッキング現象のメカニズムで説明した「火花放電」が、内部で繰り返し発生した証しといえます。
樹脂部分が炭化し始めているため、いつ本格的な発火に至ってもおかしくありません。
見た目がわずかな変色であっても、内部では深刻な劣化が進行している可能性があります。
このコンセントは決して使用せず、速やかな交換が必要です。
プラグが異常に熱を帯びる
電化製品の使用中に、電源プラグの部分が「触れないほど熱い」と感じる場合、それは異常発熱のサインです。
発熱の原因として、たこ足配線による過電流、プラグの変形や緩みによる接触不良、あるいはトラッキング現象の初期段階などが考えられます。
正常な使用でもプラグは多少温かくなることはありますが、「異常な熱さ」は電気の流れに何らかのトラブルが起きている証しです。
放置すれば発火につながるため、直ちに使用を中止し、原因を特定しなければなりません。
焦げ臭いにおいがする
コンセント周辺からプラスチックが溶けるような、あるいは物が焦げるようなにおいがした場合、もっとも緊急性の高い危険な前兆です。
これは、コンセントやプラグの内部で、すでに炭化や発火が始まっていることを示しています。
目に見える炎や煙が出ていなくても、壁の内部など見えない部分で火災が進行している可能性も否定できません。
においに気づいたら、すぐにそのコンセントの使用を中止し、取るべき対処法を冷静に実行してください。
トラッキング現象が起きたらまず取るべき対処法
「焦げ」や「異臭」、「異常な発熱」といった前兆を発見した場合、火災を防ぐために迅速かつ安全な対処が求められます。
ここでは、万が一トラッキング現象またはその前兆が起きた際に取るべき4つの対処法を解説します。
- ブレーカーを落として通電を止める
- 安全を確保し初期消火を行う
- 焦げたコンセントは決して使用しない
- 専門業者に点検と交換を依頼する
これらは感電や火災を防ぐために不可欠な行動です。
ブレーカーを落として通電を止める
焦げや異臭を発見したら、まず感電やショートを防ぐために、そのコンセントへの電力供給を遮断します。
該当するコンセントがどの回路か分かっている場合は、分電盤にあるその部屋の安全ブレーカー(小さいスイッチ)を「切」にします。
どこか分からない場合や緊急時は、メインブレーカー(一番大きいスイッチ)を落とし、家全体の電源を止めてください。
この際、濡れた手でブレーカーを操作したり、異常があるコンセントに直接触れたりするのは必ず避けてください。
安全を確保することが最優先です。
安全を確保し初期消火を行う
もしコンセントから小さな炎や煙が出ている場合は、初期消火を試みます。
ただし、通電中の電気火災に水をかけるのは、感電の危険があるため決してしないでください。
必ずブレーカーを落としてから消火活動を行います。
消火器(電気火災に適応したもの)があれば最適です。
しかし、ない場合は水を直接かけるのではなく、濡らしたタオルを固く絞って被せるなどの方法も考えられます。
少しでも危険を感じたり炎が天井に届きそうだったりした場合は、無理をせず直ちに避難し、119番通報してください。
焦げたコンセントは決して使用しない
火災に至らなかった場合でも、一度焦げたり変色したりしたコンセントは、再使用しないでください。
見た目の損傷がわずかであっても、内部の絶縁体は熱によって炭化・劣化しています。
その状態のコンセントに新しいプラグを差し込むと、即座にショートして発火する危険があります。
「このプラグが悪かったのかも」と、ほかのプラグを挿して試す行為も同様に危険です。
焦げたコンセントはブレーカーを落としたまま、触らずに専門家による交換を待ってください。
専門業者に点検と交換を依頼する
焦げや変色、異臭が確認されたコンセントは、修理ではなく「交換」が必要です。
コンセントの交換作業は、配線を伴うため「電気工事士」の国家資格が必須となります。
資格のない方が自分で修理や交換を行うことは、電気工事士法で禁止されているだけでなく、感電や新たな火災の原因となり大変危険です。
必ず地域の電気工事業者や、信頼できる専門業者に連絡してください。
賃貸物件の場合は、まず管理会社や大家さんに連絡し、指示を仰ぎましょう。
壁の内部でトラブルが起きている可能性もあるため、プロによる点検が不可欠です。
まとめ:トラッキング現象とは火災につながる身近な危険
トラッキング現象は、日々の清掃と点検で予防することが重要です。
もしコンセントの焦げや変色、ブレーカーの不具合など、電気周りのトラブルを発見した場合は、火災の危険があるため決して放置しないでください。
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